相続・遺言問題

(相続問題)

身近な方が亡くなることはとても悲しいことですが,その方と法律に定められた一定の親族関係にある場合には,その方が残した財産や債務をどのように分けるのか,また,処分するのかなどを考えていく必要があります。 どんなふうに進めたらよいのか悩むことも多いと思いますが,特に以下のような場合には,早めに弁護士にご相談ください。

  • 遺産分割の話し合いが進まない
  • 遺産が(被相続人の生前からも含め)特定の親族に独占されている。
  • 遺産がもっとあるのではないかとの疑いがある
  • 遺言書が作成されているが,その内容について疑問がある
  • 被相続人が多くの負債を抱えたまま亡くなってしまった

1. 相続人

相続人には次の方々がなります。
◎被相続人の配偶者(夫ないし妻)・・・常に相続人になります。
   ※戸籍上,婚姻届が出されていない内縁の配偶者は,相続人になれません。
◎次の者は,番号を付した順番で相続人になります。
 ①被相続人の子(又はその代襲者) ②直系尊属 ③兄弟姉妹(又はその代襲者)
   ※①「被相続人」の子には,ア)養子や,イ)胎児も含まれます。

2. 遺産相続をするか否か(相続放棄)

相続が発生した場合,「相続しない」という選択肢もあります。これが「相続放棄」です。
他の相続人に全ての財産を受け取ってもらってよいと考える場合や,被相続人が借金だけを残して亡くなった場合にその借金を承継したくないという場合などです。
「相続放棄」を行う場合は,法律上,期限の制限があります。民法では,「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に」家庭裁判所に申し立てなければならないとされています。ただ,借金の督促状が,被相続人の死後3カ月を超えて送られてきて初めて借金の存在を知ったということもよくあります。この場合でも,直ぐに弁護士に相談すれば適切な解決ができますので,早めにご相談ください。

3. 遺産分割の流れ

(1) 相続人を確定させる

被相続人が離婚や再婚を行っている場合など誰が相続人か分からない場合もあります。また,相続人がどこに住んでいるのか分からない場合や,海外に居住していたりする場合もあります。これらの場合,故人の戸籍を出生に遡って調査して相続人となるべき者を調査したり,居住地を調査したり,外務省等を通じて居所を調べたりすることが必要となります。こうした相続人を確定させる手続きから弁護士が相談に応じます。
なお,相続人の中に調査を尽くしても行方が分からない者(不在者)がいる場合には,家庭裁判所に不在者の財産管理人の選任を求めることがあります。
その他,必要があれば,先順位の方の相続放棄の有無(家庭裁判所に照会を行うことで判明します)や相続欠格・推定相続人廃除の有無を検討します。

(2) 遺産の範囲を確定させる

預貯金について,被相続人の生前に一部の相続人が使い込んでいるような場合もあるので,金融機関から取引明細書などを取得して残高の変動状況を調査する必要があります。
不動産の権利関係についても登記簿謄本等を元に調査します。意外と名義が被相続人の先代のままになっているということもあり,そのために分割手続に手間取ることもあります。

(3) 相続分を算定する

① 特別受益

相続人の一部に被相続人から生前贈与や遺贈(特別受益)を受けている者がいる場合には,現に存在する遺産のみを対象として遺産分割したのでは,公平を欠くことになります。そこで,生前贈与や遺贈は相続分の前渡し(先に遺産分割を受けた)と考えて,計算上相続財産に加算して(持戻し),遺産分割を行うことになります。

② 寄与分

反対に,共同相続人のうち,被相続人の生活の世話や病気の看護をしたり,無償で家業を手伝ったりして,被相続人の財産の維持又は増加に貢献(寄与)したと認められるときは,現に存在する遺産の一部について,寄与した者に一定の権利を認めるのが公平です。そこで,一定の条件のもと,遺産総額から寄与分を予め控除し,寄与した相続人にはその寄与分を本来の相続分とは別枠で増額して相続できることにしています。

(4) 遺産分割協議

以上を踏まえて,共同相続人全員で遺産分割協議を行います。
この協議で円満に分割が進むことが望ましいのですが,そうならない場合には,以下の手続きに進むことで解決を求めることになります。

(5) 調停・審判の申立

「調停」とは,家庭裁判所における話し合いによる解決方法であり,「審判」とは話し合いによる解決ができない場合に,裁判所の判断(審判)によって解決する方法です。
いずれにおいても解決をみた場合,その内容には強制力がありますので,内容に応じた分割が実現します。

遺言書作成

1. 遺言とは

相続人や相続分は法律で定められていますが,それを,被相続人の意思によって修正したり,財産の行方を具体的に定めておくことができます。これが遺言です。たとえば,

  • 子どもがいないが兄弟が複数いる場合に,妻に全ての財産を残したい
  • 正式な婚姻届をしていない内縁の妻または夫に財産を残したい
  • お世話になった方(相続人ではない)に財産を残したい
  • 遺産を特定の団体等に寄付したい
  • 複数ある財産について,具体的な分割方法(Aには自宅,Bには預金,Cには株など)を決めておきたい

といったことを具体的に記載しておくことで,自分の思いを伝え,無用な紛争を避けることが可能となります。

その他,相続が発生すると,1人の相続人が遺産を勝手に動かすことができなくなります。たとえば,預貯金の払戻を受けるに際しても,金融機関は相続人全員の実印と印鑑証明書を要求してきますし,不動産の名義を移転するにも相続人全員で作成した遺産分割協議書が必要となります。こうした場合に,遺言書を作成し,その中で遺言執行者を指定しておけば,遺言執行者が責任を持ってその内容を実現します。

2. 遺言の種類

遺言は,文字で残さなければなりません。ビデオテープや録音テープなどは認められていません。遺言には,①自筆証書遺言,②公正証書遺言,③秘密証書遺言,④危急時遺言の4種類があります。

(1) 自筆証書遺言

遺言書の全文・日付・氏名を遺言者の自筆で作成すること(代筆やワープロ打ちは不可) 押印してあること(ただし,実印である必要はない)

メリット

費用がかからない。作成が簡単。遺言の存在や内容を秘密にできる。

デメリット

検認が必要。形式に不備があると無効になる危険がある。改ざん・隠蔽等の危険がある。

(2) 公正証書遺言

公証役場において,証人2名の立会いのもと,遺言内容を公証人に口述し,公証人が証書を作成する遺言。

メリット

公証人が関与するので,形式の不備はなく,内容の解釈を巡り後日争いになる可能性が低い。 公証役場に原本が保管されているので,正本・謄本の再発行ができる。

検認が不要,偽造・改ざんのおそれがない。

デメリット

費用がかかる。証人2名が必要。遺言の存在・内容を完全には秘密にできない。

(3) 秘密証書遺言

公証役場において,公証人及び証人の前に封印した遺言書を提出して,遺言の存在を明らかにしながら,遺言内容を秘密にして遺言書を保管することができる方式の遺言。

  1. ①遺言書を作成する(本文は代筆、ワープロ打ち(点字等)でも可。但し、署名、捺印は必要)
  2. ②遺言者がそれを封じ,遺言書に用いたのと同じ印章で封印する
  3. ③遺言者が公証人及び証人2名の前で封書を提出し,自己の遺言であることと,住所氏名を述べる
  4. ④公証人がその遺言書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載する
  5. ⑤遺言者・証人とともに署名押印して作成する
メリット

遺言の内容を秘密にできる。偽造・変造のおそれがない。

デメリット

費用がかかる。証人2名が必要。検認が必要。形式・内容等の不備で無効となる危険がある。紛失・隠匿の危険がある。

(4) 危急時遺言

特別な状況に置かれている場合の遺言で,そのうち,疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が,遺言しようとするときに用いられる方式の遺言を「死亡危急者遺言」という。

  1. 証人3人以上の立会いをもって
  2. その一人に遺言の趣旨を口授して行う
  3. 口授を受けた者は,ⅰ)これを筆記し,ⅱ)遺言者及び他の証人に読み聞かせ,ⅲ)署名・捺印する。
メリット

死亡の危急が迫った状況において,公証人の手配ができず,また,自筆が困難な場合にあっても遺言を残すことができる。 方式違背も明白な場合を除いて問題とされない。

デメリット

遺言の日から20日以内に家庭裁判所の確認を得る必要がある。検認が必要。

3. 遺言の無効

遺言が無効であるとの疑いがある場合は,裁判所に遺言無効の確認を求める訴訟を提起することができます。

  • 遺言を作成した当時,遺言者にその遺言を作成する能力がない場合
  • 遺言が偽造である場合
  • 遺言がその形式を満たしていない場合

遺留分

1. 遺留分とは

法定相続人のうち一定の者には,被相続人の相続財産につき,生前贈与や遺言によっても侵すことのできない一定割合を取得する権利が保障されており,これを「遺留分」といいます。
たとえば,

  • 相続人の1人が遺言によって多額の遺産を受け取っている場合
  • 相続人の1人が多額の生前贈与を受けている場合

には,遺留分の問題が生じる可能性があります。 遺留分を侵害された相続人は,「遺留分減殺請求権」を行使することにより,遺言によって侵害された自らの権利を取り戻すことができるのです。

2. 遺留分権利者

遺留分を行使できる者(遺留分権利者)は,①配偶者,②子(代襲相続人を含む),③直系尊属(父・母等)です。被相続人の兄弟姉妹は遺留分権利者ではありません。

3. 遺留分の割合

遺留分の割合は,まず,A直系尊属のみが相続人である場合には相続財産の3分の1であり,それ以外の場合は相続財産の2分の1です。そして,B各相続人が有する個別の遺留分の割合は,上記の遺留分を法定相続分で配分した割合となります。 例えば,

  • 両親のみが相続人の場合の個別的遺留分は,
         1/3(A) × 1/2(B) = 1/6 となります。
  • 配偶者と子2人が相続人の場合の個別的遺留分は,
         配偶者の遺留分は,1/2(A) × 1/2(B) = 1/4
    子の遺留分は,それぞれ,1/2(A) × 1/2(B) × 1/2 = 1/8 となります。
  • 配偶者と両親が相続人の場合,
    配偶者の遺留分は, 1/2(A) × 2/3(B) = 2/6
    両親の遺留分は,それぞれ,1/2(A) × 1/3(B) × 1/2 = 1/12 となります。

4. 遺留分減殺請求

自己の遺留分を侵害された遺留分権利者は,相手方(遺贈または贈与を受けた相続人,受遺者又は受贈者)に対し,遺留分減殺請求をすることができます。
この請求権は,遺留分権利者が相続開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ってから1年間で時効消滅しますので注意が必要です。相続開始から10年経過したときも時効消滅します。

弁護士費用(税別)

1. 遺産分割・遺留分減殺請求

対象となる相続分の時価相当額が,経済的利益となります。 但し,遺産分割協議において,特段の争いがなく解決に至った場合には,経済的利益を算出するにあたって,その相続分の時価相当額を一定程度,減額することがあります。
経済的利益 着手金 報酬金
300万円以下のとき 8% 16%
300万円を超えて3000万円以下のとき 5%+9万円 10%+18万円
3000万円を超えて3億円以下のとき 3%+69万円 6%+138万円
3億円を超えるとき 2%+369万円 4%+738万円
※但し,着手金の最低額は10万円になります。 ※事件の難易度・当事者数などを考慮して30%の範囲内で増減させていただくことがあります。

2. 遺言書作成

定型的な遺言書 10万円~20万円
非定型的な遺言書 300万円以下の場合 20万円
300万円を超えて3000万円以下のとき 1%+17万円
3000万円を超えて3億円以下のとき 0.3%+38万円
3億円を超えるとき 0.1%+98万円
※特に複雑又は特殊な事情がある場合には,協議により定める額とします。

お気軽にお問い合わせください TEL 092-715-4461 受付時間 9:30 - 17 :30 [ 土・日・祝日除く ]

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